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65歳定年が一般化したことによって、企業には老人が居ることが増えた。
この老人の存在は、その下あるいはその横で働く人間にとっては、はなはだ厄介である。
知人のひとりは彼らのことをハッキリ「老害」と言っていた。

なにより、彼らは数が多い。団塊すなわちカタマリと呼ばれるほどに数が多い彼らは、その数が圧倒的な説得力を持っているのを知っている。
さらに、彼らは勝った経験を持っている。よく調べれば勝ったのは彼らの力ではなく彼らよりすこし上の世代ががんばったからだとわかるのだが、彼らはそう思ってはいない。勝ったのはあくまで自分の力によるものだと思っている。これが絶対の正義を生み出す。

いわゆる「老人力」はたぶんある。だから、うまいこと活用すれば、これは大きな力を生む。
でも彼らは忘れているのだーーみずからが「老人」であることを。

ぼくは病人になって、病人をたくさん見た。
そして、病人がみずから病人と認めたがらないのは、老人が老人と認めないのと同じ心性によると知った。
ひょっとすると、それは人の性なのかもしれない。

ぼくは結局、ワガママな病人であることから逃れることはできなかった。



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