現在のICTカリキュラムはひどいものだ。
退屈で不適切。有害ですらある。
ICT教育に革命を起こそう。
コンピュータサイエンスは、厳格なものでなければならない。
どんなにテクノロジーが変化しても、
変わらぬ原理を伝えるものでなければならない。

イギリス教育相マイケル・ゴーヴ(Michael Gove)は、コンピュータサイエンスはもっとも難しい知的分野に基づいた学問であり、これを修めた者は世界にイノベーションを与えるとともに、大きな報酬を得る可能性がある、と主張する。だが、現在のICTカリキュラムはそちらには決して向かわず、生徒たちはそれを知ることすらできない。
Goveは変革を訴える。厳格なコンピュータサイエンスは、テクノロジーがどんなに変化しても古びることはない。ICT教育はそれをめざすべきであり、学校と教師の自主性がそれを可能にする。
(訳・TENTO 英The Gurdianのスピーチ全文掲載による 元の記事 前の記事

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●現在の、問題のあるICTカリキュラム

新しいテクノロジーの破壊的で革新的で創造的な力は、私たちに現在のカリキュラムの再考を促します。

テクノロジーの革新という「気まぐれな魂」を、手垢のついた言葉でとらえようとして危機的な状況に陥っている分野があります。

もちろん、現在のICTカリキュラムのことです。

コンピュータサイエンスの最高の学位は、世界で最も厳格で、尊敬される資格のひとつです。コンピュータサイエンスは、もっとも難しい知的分野である論理学と集合論に基づいています。これを学んだ学生は非常に大きな報酬を得るキャリアをつむ可能性と、世界を変えるほどのイノベーションを起こす可能性が与えられます。

しかし、現在のICTカリキュラムをいくらこなしても、それに気づくことはできません。

学校、教師、そして産業界のリーダーたちが、現在のカリキュラムはひどいもので、生徒のやる気を失わせる退屈なものだと言っています。

英国カリキュラム審議会のからの要請に答えて、英国コンピュータ協会、「学校のコンピュータ(Computing at School)」ワーキンググループ、英国eSkill、Naace、英国協会(National Society)などが回答しました。「現在の英国のICTカリキュラムは満足できるものではない」すべての組織がそう語っています。

現在のカリキュラムは子供たちの能力を伸ばすものではなく、改革や実験の機会さえも許さない。カリキュラムは抜本的に変えなければならない。彼らはそういっています。

2009年の調査研究にたいしてeSkillは「中等教育(GCSE)のICTカリキュラムは、かなり有害で、退屈で、不適切だ。スクラップにすべきものだ」と答えています。この点は王立協会もとても心配しており、大学・雇用主・教師・専門機関とともに2年にわたって調査を行なっています。その報告が今度の金曜日に上がってくるのですが、とても楽しみです。
こんなに評判が悪いにもかかわらず、コンピュータサイエンスのコースが16-18もあることに、私は深い疑問を抱いています。

まとめましょう。
現代のテクノロジーは可能性にあふれています。にもかからわず、ICT教育はそこに向かっていない。教師も、専門家も、経営者も大学も、親も生徒も、みな同じことを言っています。「学校のICT教育は腐っている」と!

●現在の学習プログラムはもう使わない

今日これから、教育省は会議をひらきます。その場で話し合われることについてお知らせしましょう。
会議では、現在のICTカリキュラムを今年の夏からとりやめることについて話し合う予定です。

今までなら、現在のカリキュラムを4年間そのままにしておいたでしょう。その間に専門家を招き、新しいICTカリキュラムを考え、新しい教師の訓練に多額の投資をして、新しいICTの中学卒業資格(GCESES)のために試験委員を組織するでしょう。しかし、このやりかたではすぐに時代遅れのものになってしまいます。

私たちはそういうことはしません。

もう英国政府は学校でのICT教育をこまかにコントロールしません。現在のカリキュラムを捨て去り、何を教えるかは学校と教師の自由に任せます。ICTに革命を起こすのです。

強調しなければならないのは、ICTを学習する義務はすべての生徒にあることです。そして、カリキュラムのどの段階でも教えられなければなりません。現在のプログラムは、リファレンスのためにWeb上に残しておくつもりです。

でも、英国の学校がこれに従う義務はまったくありません。この9月(新学期)から、すべての学校は、すでにWebに存在しているすばらしい教材を自由に使えるようになります。

大学や企業などが新しいコースと試験を考えてもいいでしょう。彼らが中学試験資格(GCSE)のための質の高いコンピュータサイエンスのカリキュラムを作ってくれることを期待しています。さらに、それをWeb上にアップし、すべての学校が使えるようにしていただきたい。

この領域では、OCRが先駆的な仕事をしていてます。喜ばしいことです。IBMを中心とした会社もすでにパイロット・プロジェクトにとりかかっています。さらにFacebookが、英国の団体であるApps for Goodと組んで若者にデザインやコードを学ぶ機会をあたえてくれています。これはSNSで動くソーシャルアプリをつくる教材ですが、今年、世界中の誰もがオンラインで無料で使えるようになるのです。

ほかにも、きめ細かなICTカリキュラムを制作、すでに発表したり、あるいは発表しようとしている専門家の団体があります。英国コンピュータ協会とIT協会の主導によるComputing At School、英国eSkillsの主導によるBehind the Screens、またNaaceなど、それぞれ産業界のリーダーたちの手厚い援助を受けています。

ひとたび現在のICTカリキュラムの障害物を取り除けば、わずか数年で劇的な変化を見込むことができます。
やる気のない先生にワードやエクセルの使い方を教わって、子どもたちもほとほとうんざりしている――そんな状況はもうやめにしましょう。MITのスクラッチを使えば、11歳の子どもに2Dのアニメーションを書かせることだってできるんです。16歳の生徒でも、スマートフォンアプリを書くことで、今までは大学でしか学べなかった形式論理を理解できるようになるかもしれません。

これは、国会議員の軽薄な戯言ではありません。コンピュータサイエンスの世界的な企業を創り上げたイアン・リビングストンのような人々が予見していることでもあります。


●教育省は厳格なコンピュータサイエンスに力を入れる

新しいコンピュータサイエンスの課程は、私たちがよく知っているものになります。本来、コンピュータサイエンスは厳格で、魅力的で、知的に挑戦しがいのある科目なのです。

ご存知のように、Facebookの創立者、マーク・ザッカーバーグは現代のコンピュータサイエンスにおいてもっとも革新的で成功した人物です。しかし、彼のコンピュータ・スキル以外の才能もすばらしい。たとえば彼は、数学・科学・フランス語・ヘブライ語・ラテン語・古典ギリシャ語などに関しても同じくらいの能力を持っています。

コンピュータサイエンスは論理学と集合論に基礎づけられています。また、ほかの科学領域と融合し、コンピュータ生物学など、新たな研究主題を生み出しています。

ここで宣言します。
もし、GCSE(中等教育)のコンピュータサイエンスが、知的な深さと実用性の点において高い基準を満たすものになるならば、コンピュータサイエンスを大学卒業資格(English Baccalaureate)のひとつの選択肢に含めましょう。

テクノロジーは日に日に変化しています。だがそれらは、何十年も変わらない基本的な考え方と原理に裏打ちされている。今の学生が卒業し働くようになってから長い時間がたっても、また、彼らが学校で使っていたテクノロジーがすたれ長い時間が経過しても、彼らが学んだコンピュータサイエンスの原理は、ずっと真実であり続けます。


(5)につづく

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