テクノロジーは学習を大きく変えている。その変化は主に3つ。
ひとつはオンライン教材の充実。
もうひとつはゲームをとりいれた教材。
そしてすばやく効率的な成績評価だ。
これらは生徒の学習環境ばかりでなく、教師の「教える力」も向上させる。


イギリス教育相マイケル・ゴーヴ(Michael Gove)は、世界のあらゆるものがテクノロジーによって変化していること、にもかかわらず教育はまったく変化していないことを述べたのち、テクノロジーの最先端を追いかければたちまち古びてしまうことに警鐘を鳴らした。続いて彼は、テクノロジーがじっさいにどのように教育に生かされているか、生かすべきかを事例をあげて語る。
(訳・TENTO 英The Gurdianのスピーチ全文掲載による 元の記事 前の記事

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●テクノロジーは学習にどう寄与するか

私たちは特定の技術をあわてて追いかけてはいけません。ベータマックスやフロッピーディスクのことをいつも念頭におかないといけないのです。私たちは、もっと根本的な疑問を問いかける必要があります。

テクノロジーは学習にどう寄与できるのでしょうか。

すぐに三点をあげることができます。

第一に、テクノロジーは以前よりずっと多くの人に学習を広める可能性をもっています。これまで、少数の人だけが得られる特権だった研究、授業、アイデアを、世界中誰もが学習できるようになっています。インターネットさえあれば、子どもでも大人でも、自由に享受できます。

o2learnを見て下さい。o2learnは、オンラインのフリービデオ・ライブラリーです。教師たちによって開発され、ビデオも撮影されています。この国のすべての学校・大学の、のべ25000時間にわたる1000の授業を見ることができるのです。たとえば、イングランド総合学校のThe Bishop Wand Churchからは科学の授業が、イートン校からは音楽の授業が提供されています。
iTunes Uもあります。ここでは、世界のトップ大学の授業をボタンひとつで見ることができます。
Independent Schools Council(私立学校協会)では、ティーチング・リーダーと最高のアカデミーチェーンがオンラインで見られる教材と授業ビデオを提供しています。
さらに、Kahn Academyの教材はとても成功しています。毎月350万人を超える生徒がKahn Academyの教育ビデオを見ているのです。グーグルは教材を10の言語に翻訳するために200万ドルを寄付しました。(日本でのとりくみ

シンガポールでは、オンラインの授業と、先生による対面授業のミックスで授業が行われています。これはとても優れたもので、私は幸運にも直接見学することができました。
専門分野では教師の不足が語られていますが、そうした教育は、オンラインで提供することができます。教師が不足していたために、受講できるのが一部の生徒だけだった科目を、たくさんの人が学べるのです。
The Further Mathematics Support Programme(数学サポートプログラム)は、インターネットを通して、貧しい家庭にSTEPの専門家サポートを提供しています。これは大学の数学コースの選抜対策としても、とても有効なものです。

オンラインの教材は成長し、ますます豊かになっています。私たちは、オンラインで自由に利用できるこうした情報やテクニックをつかって、どうやって学生たちを導いていけるのか、考えなければなりません。

もちろん、学ぶ機会が増えたのは児童たちばかりではありません。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーは、プロフェッショナルな学習環境をウォーリック大学と共に開発し、学校でのシェークスピア劇の教え方を変容させています。来月ローンチされる「リハーサル室(rehearsal room)」の学習教材は、大学の専門家や先生だけでなく、世界的に有名な俳優やアーティスト、舞台監督たちの見識・実践活動へアクセスする機会を世界中の教師に提供するのです。このプログラムはシェークスピア劇の教え方について、大学院での資格勉強の機会も与えます。

The Knowledge is Power(知識は力)プログラムはアメリカでもっとも成功した、そして広く学ばれている学校間のプロジェクトです。ここではすでに、ユビキタスの安価なデジタル技術を使って、有能な教師の授業が共有されています。最高の教師であっても、同僚の授業を見て自分の腕を磨くことができるのです。

第二に、テクノロジーは私たちがどう学ぶかについて、深い問いを投げかけてきます。どう教えるべきかについても考えさせてくれます。

ゲームとインタラクティブなソフトを使うと、生徒たちは複雑なスキルや厳密な知識をいきいきと楽しみながら習得することができます。「適応型ソフトウェア(Adaptive software)」は異なる生徒のさまざまな能力を認識して対応し、あらゆる生徒むけに教え方をパーソナライズすることができます。先生の専門的な助力さえあれば、生徒たちは自分にあうように調整されたレッスンを通して、個人個人が異なる進度で学習を進めることができるのです。

英国のゲーム業界はきわめて強力です。自国ばかりではなくだけではなく世界中で教育に関わっていける大きな可能性を秘めています。この技術が創造的に使われていることはすでに見てきました。オックスフォード大学の数学教授、マルクス・ドー・ソウトイによって作られたゲームは、子供たちを高度で複雑な数学の問題に誘うものです。子供たちはすばらしい学習成果が得られています。

クリスマス前に、私はニューアムのキングスフォード・スクールを訪問しました。ここでは教育省が、李嘉誠基金およびスタンフォード研究所と共同プロジェクトを行なっています。その予備計画では、コンピュータプログラムを使って子供たちにインタラクティブに数学を教えています。たとえば、スクリーン上で2人の競走を子供たちに見せて、その時間と距離の関係をグラフにプロットさせるのです。さらに、そこに変数にあてはめます。

この計画は中央政府によって指示されたものではありません。また、私たち(教育省)が開発したものでもありません。しかし、スタンフォード研究所によれば、これはすでに教育プロジェクトとして今まででもっとも成功したものになっているといいます。私も結果を見るのが楽しみです。

第三に、テクノロジーは、今までなかったような成績評価の機会をもたらしています。教師は生徒の学習を、これまでよりもはるかに洗練されたやり方でサポートすることができるのです。成績を生徒本人や親と共有することができます。

生徒の長所や短所は詳しくモニターすることができます。うまくいかず苦しんでいる生徒を傷つけることなく、また進んでいる生徒を邪魔することもなく、モニターすることができるのです。教師は生徒が弱点としている場所に絞って授業計画を調整することができ、また彼らの知識の穴をすばやく、かつ正確に把握することができます。

こういった洗練された評価方法を採り入れている学校は全国にあります。たとえばウォリックシャー州とオックスフォード州の境にあるブレールズ小学校では、オンラインツールを使ってテストを実施しています。ツールにあらかじめ用意されたテストを使うこともできるし、自分たちでテストをデザインすることもできるのです。教師の一人、デボラ・スミス氏はこのシステムを賞賛してこう言っています。
「このシステムのおかげで、グループごとにニーズにあうような教え方ができるようになりました。学習は素早く評価でき、準備が簡単です。授業計画や実践に、今までより多くの時間をさけるようになりました」

チチェスター男子校では電子投票機を使っています。これは、授業中にすばやいフィードバックを生徒に返すことを可能にします。教師は、教材がどれだけ理解されているかをリアルタイムに把握することができるのです。ひとつの問題ごとに理解状況を把握することも可能です。

これまで見てきたのは、テクノロジーが教育を大きく変化させる3つの点についてでした。ほかにもこうしたものはあるでしょう。

(3)につづく

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