東京青山のワタリウム美術館で、驚くべき学びの世界展を観覧してきました。
展示されているのは、世界最高ともいわれる北イタリアはレッジョ・エミリアにおける教育実践。
イタリアは日本と同じく第二次大戦の敗戦国ですが、レッジョ・エミリアの人たちは軍用トラックや戦車を売り払い、地域で「自分たちの学校」をつくりはじめます。
おそらくは敗戦後の混乱期だったからこそ、教育制度もじゅうぶんでなく、独自の教育をつくっていかざるを得なかったのでしょう。そこにローリス・マグラッツィという優れた教育者が加わり、レッジョ・エミリアの教育が成長していくことになります。
こどもが自分の考えをもつように育てる。
それがレッジョ・エミリアのテーマであり、そこからアートと教育のマッチングなど、さまざまな手法が考案されていくことになります。多数の芸術家が講師として参加してるだけあって、教育の現場でかわされているこどもとの会話も、感受性をのばす方向に組み立てられていてとても新鮮でした。
でもね、こどもたちが描いたりつくったりした作品をみて、ちょっと思った。
ウチのこどもも小さいときこんなんつくってたなあ、って。
そういう目でみると、数年前に行った幼稚園の美術発表会とそれほど大きな差異があるとも思えない。
どちらも自由なこどもの作品で、その点で優れているんだよね。
レッジョ・エミリアの独自性は、おそらくこどもたちの作品群にはない。
むしろ特徴的なのは、環境のほうなのだと思います。
レッジョ・エミリアでは、市の教育予算はじつに全予算の 40%に達するそうです。
これは、「子どもへの投資は、基本的な文化的社会的投資である」という教育哲学にもとづいているのだけれど、お題目に終わっていないところがすばらしい。
レッジョ・エミリアでは、毎年5月にリサイクル素材を使って作品発表し合う「レミダ・デー」と呼ばれる大イベントが開催されるそうです。
これは、子どもから大人、老人まですべての市民が参加し、共有し融合していくのを目指すプロジェクト。
町全体が気持ちを 1 つにして、作品を作り上げる。
つまり、「こども」「若者」「労働者」「老人」といったそれぞれの立場は捨象されて、すべて「市民」という立場の中で、ひとつの作品――もっといえば「町」「社会」をつくるイベントです。
レッジョ・エミリアがすばらしいのは、たぶんここです。
全予算の4割の教育予算もうなづける。教育がそのまま、町や社会をつくることにつながっているからこそ可能なんだ。
ざんねんながら、日本のシステムはこうしたとりくみが容易にできないようになっている。
たとえば、こども福祉と老人福祉は豁然と区別され、べつべつに税金が用意され、べつべつの場が与えられ、べつべつに消費される。一緒にものごとをやるってのは、すごくたいへんなことだ。相当な構造改革が必要になる。
でも、なんとかできないだろうか。
こどもと地域のマッチング。
教育への投資が社会への投資になるようなしくみ。
TENTOでそのかたちがつくれないだろうか、と考えた。
今、TENTOはさいたま市で講座をやっているのだけど、彼らがまなぶことが、さいたま市の、埼玉県のためになるようなしくみはつくれないか?
TENTOはもともとでっかい志があって、日本のために!と鼻息荒くしてはじまったところがある。
でも、地域のことはあまり考えてこなかった。
不安の時代には、個人のスキルが個人を救うことになる、という考えが根底にあるからだ。
その考えは基本的にはまちがっちゃいないとも思っている。
でも、彼らがスキルをあげることが地域の役に立てるならば、それは彼らにとっても大きな自信になるはずだ。
そこで地域が活性化するならば、それは日本のためにもなる。
学校のクラスで、新聞をつくるとき、PCに通じている子が適当だという話になって、TENTOの子に白羽の矢があたった、という話をきいた。TENTOの子のICTスキルは、もう学校ではみんなに認められているんだ。
これをすこし大きくすれば、地域になる。
今、彼らには学校という場しかない。だから彼らは学校でしか活躍できない。
でも、もっと広い場を与えれば、彼らはキッチリ活躍してくれるはずなんだよね。
だって、彼らはもう、ウェブページをスイスイつくれちゃうんだから。
その場所をどう与えるべきか。
TENTOのあたらしいチャレンジはそこだな、と思った。
秋の課題ができたなあ。
そんなインスピレーションを与えてくれたレッジョ・エミリアの教育、やっぱりすごいのかも。
(レッジョ・エミリアの教育に関する資料としては、これがすばらしいです)
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